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カンタータ第167番《もろびとよ、神の愛を讃えまつれ》

バッハの教会カンタータ(39) BWV 167

第167番《もろびとよ、神の愛を讃えまつれ》
Ihr Menschen, rühmet Gottes Liebe
1723, 6/24 洗礼者ヨハネの祝日

カンタータ第167番《もろびとよ、神の愛を讃えまつれ》BWV167、1723年6月24日(洗 礼者ヨハネの祝日)に初演されたものです。前回の第24番(6月20 日)のわずか4日後です。一体、いつ作曲して、いつ練習したのでしょうか?あるい は、前もって作曲してあったのでしょうか。そのせいか、小規模な作品で、楽器も弦 楽の他はオーボエ、オーボエ・ダ・カッチャとトランペットだけ、曲数も5曲だけで す。

このカンタータの少し後、7月2日に、あの有名な「主よ人の望みの喜びよ」の入っ たBWV 147が演奏されるのですが、167番のコラールもなかなかすばらしいものです。楽しげ なリトルネッロ主題が印象的です。前回の24番もそうでしたが、この頃、こうい う手法に凝っていたのでしょうか。

▼構成はアリア−レシタティーヴォ−アリア−レシタティーヴォ−コラールとなってい ます。 最初の方のアリア(T)は、さわやかな弦楽合奏で始まり、テノールが同じ旋律を歌い 始める。実に喜ばしげで、気持ちの良い音楽です。「ほめたたえよ」(preset)のとこ ろでコロラトゥーラが歌われるのも、実に力強く自然です。聞けば聞く程良い曲だな あ。リズムはシチリアーノ。

次のレシタティーヴォ(A)は淡々としたものですが、最後の部分がアリオーソに なっていて、ここのチェロの伴奏にはほれぼれします。「無伴奏チェロ組曲」を思い出します。

2つ目のアリアは、ソプラノとアルトのデュエット。オーボエ・ダ・カッチャの ちょっと物憂い旋律に乗って、ソプラノとアルトが3度、6度の安らかなハーモニー を奏でたり、互いを模倣しあったりと、デュエットの楽しさ・美しさを存分に味わわ せてくれます。ダカーポ形式の両端は3拍子、中間部は4拍子にと、曲想に変化があ り、飽きさせない。

バスのレシタティーヴォは、洗礼者ヨハネの父の「ザカリアの賛歌」を要約したもの を語っていきますが、最後の1行がまたアリオーソになっていて、コラールの旋 律を歌うところが、ちょっとした工夫。実に自然に最後のコラールに導かれていくのです。 アリアも良かったけれど。こういうコラールを聞くと、心が一緒に歌いはじめます。 うーん、やっぱりバッハっていいなあ。

▼演奏は、全集盤のみです。

Rilling	     	1974	Hänssler
Harnoncourt	1987	TELDEC
Koopman		1998	ERATO
Suzuki		1998	BIS
Leusink		1999	Brilliant

年代順に並べましたが、私の評価もこの順番です。リリング盤は、ほとんど文句のつ けようのない演奏。実に生き生きした演奏です。テノールのクラウスを初め独唱陣 も実に良いし、合唱が感動的。会心の出来と思います。

アルノンクール盤はとにかく個性的。最初のアリアでの合奏の入りなど、実に細やか な美しさがあるし、最後のコラールではちょっと悪趣味なぐらい元気な伴奏が入って います。これも、民衆的な喜びが感じられて良い。ソプラノとアルトは少年ですが、 ちょっと音程の不安はあるものの、とても上手だし、声質がマッチしているのがいい です。カウンターテナーはちょっと声質の違いが気になることが多いです。

コープマン盤は、歴史指向の演奏には珍しく、ソプラノもアルトも女性です。大変ス ムーズな演奏で、これだけ聞けば、文句のない演奏ですが、上の二つほどの強いメッ セージが感じられない。しかし、美しい演奏です。

鈴木盤は、コープマン盤に比べると、テノール以外の独唱がいまいち。前回、前々回 のBWV24,BWV76とのカップリングです。

最後のレーシンク盤は全体に、かなり落ちます。これだけでは曲の良さが十分には伝 わってこない感じで、特に最後のコラールはもう少し何とかならないか。

なお、"Leusink"の発音ですが、"eu"はドイツ語の"Oウムラウト"と同じような発音だ そうです。"sink"はドイツ語のように濁らない。これは"alt.music.j-s-bach"でオランダの 方々から教わったことです。"Oウムラウト"を「ゲーテ」や「ベーム」と表記する習慣に 従うならば、「レーシンク」と表記することになります。

(2001年6月23日)

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2002-11-05更新
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