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カンタータ第24番《まじりけなき心》

バッハの教会カンタータ(38) BWV 24

第24番《まじりけなき心》
Ein ungefärbt Gemüte
1723, 6/20 三位一体節後第 4日曜日

このカンタータがライプチヒ就任3作目となるのでしょうか。前回のBWV 76との間で、日曜日が1 回飛んでいます。

BWV 75, BWV 76は規模の大きい作品でしたが、これは15分ほどの手頃 な曲です(ほっ)。しかし、短いからと言って手を抜いたようなものではありませ ん。全体におだやかな美しさが満ちていて、盛り上がるところはきちんと盛り上がり、 なかなか良くできた作品と感じました。

▼最後のコラールをのぞくと、アリア−レシタティーヴォ−合唱−レシタティーヴォ −アリアという対称構造を作っていて、真ん中の合唱曲が音楽的にもメッセージの 上でも文字通り中心となっているようです。

1曲目のアリア(A)、演奏によって相当感じが違うのですが、とりあえず「流れるよ うな」と言っておきましょうか。豊かな弦楽のリトルネッロが魅力的。また、「ドイ ツ的な信仰と徳」という歌詞は、ちょっと驚きました。ワーグナーで はあるまいし。これは、バッハでは唯一の例だそうです。次のレシタティーヴォ(T) は、最後の2行がアリオーソで歌われてちょっと面白い。

なんと言っても3曲目の合唱曲が良い。聖書の有名な言葉「自分のしてほしいように 他人にもしてあげなさい」がそのまま歌詞になっているのです。まさか、そんな曲が あるとは思いませんでした。しかも、これだけの歌詞を前奏曲とフーガの形に展開し ているのですから。曲想も大変魅力的な部分があり、合唱もトゥッティの部分とソロ の部分がうまく使い分けられて飽きません。

4曲目のレシタティーヴォ(B)も内容豊富という感じ。歌詞の内容が実に音楽的に語 られていくという感じです。最後の行はまたアリオーソになっています。

5曲目のアリア(T)はどこかで聞いたような曲だなあ。「バッハ事典」にはオーボエ ・ダモーレ2本と書いていますが、実際の演奏ではオーボエとオーボエ・ダモーレを 1本または2本ずつ使っているようです。以前に「バッハの教会カ ンタータ(31) BWV65」《人々シバよりみな来たりて》で、バスのアリアについて、「2本の オーボエ・ダ・カッチャに通奏低音の絡み合いが精妙で、室内楽曲を聞く趣がありま す。」と書きましたが、これと通じるような曲想で、楽器もよく似ています。牧 歌的な雰囲気の暖かく美しい曲。

最後はコラールでしめくくられますが、コラールにはさまれる間奏が美しい、BWV 147のような長い間奏ではなく、コラールの一節一節に短いリトルネッロ主題が挟み 込まれていくのですが、じわじわと盛り上がり心にしみこんでいくような効果を上げ ています。ちょっと15分ほどで、大変満ち足りた思いのできるカンタータでした。

▼録音は以下のようなもの。

Ramin		1952	EDEL
Harnoncourt	1973	TELDEC
Richter		1975	ARCHIV
Rilling		1978	Hänssler
Koopman		1997	ERATO
Suzuki		1998	BIS
Leusink		2000	Brilliant

全体の傾向としては、はっきりと2種に分かれ、従来スタイルのRamin, Richter, Rillingが冒頭から流れるような、たっぷり歌う弦で始まるのに対して、歴史指向の Harnoncourt, Koopman, Suzuki, Leusinkはテンポも速めに、リズムを刻んで、語り かけるような始まり方です。これはどちらが良いとはなかなか言えません。

3曲目と6曲目では「クラリーノ」という楽器が出てきますが、これはトランペット なのかナチュラルホルンなのか。事典ではトランペットとされていますが、アルノン クールはホルン、鈴木盤では例によって島田氏が「クラリーノ」という楽器を「復 元」している模様。音はトランペットですが。Leusinkでは、非常に野趣に富んだト ランペットの音が聞こえてきます。

従来スタイルではリヒター盤が個性の強い演奏ですが、シュライヤー、フィッシャー= ディースカウどちらも大げさすぎ。また、例によって合唱のトゥッティとソロを区別 しません。リリング盤の方が自然で力もある演奏と思いました。(ここでもオーボエ はギュンター・パッシン)ラミン盤はよく聞いていないですが、歌い方は少し古くさ いものの、実に立派な演奏でした。

歴史指向では、コープマンの演奏がすべての面で良かった。特に最後のコラールは意 外なほどテンポを落として、実に共感に満ちた音楽になっているし、バスのメルテン スはほれぼれするほどうまいし、言うことなしです。これに比べると、Leusinkの演 奏はかなり下手ですが、嫌みがなく、曲の良さは伝わってきます。鈴木盤は、よく聞 いていないのですが、確かに整った演奏。という以上に、もう一つ積極的にこれを聞 こうという気がしないのです。アルノンクールははずれ。変なアクセントがついて、 スムーズに音楽が動いていかない感じです。いつもながら、主観的な評価ですみませ ん。

▼これに続く三位一体節後第5日曜日, 第6日曜日の作品はなくて、代わりに洗礼者ヨハネの 祝日(6/24)用(BWV 167)、マリアのエリザベト訪問の祝日(7/ 2)用(BWV 147)が続きます。

(2001年6月17日)

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2002-10-27更新
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