バッハの教会カンタータ>カンタータ第186番
せっかく時間ができたのに、何しろ暑くて暑くて、音楽を聞くのも集中力が欠けて困 ります。昨日は8月1日。1723年の8月1日は、カンタータ第46番《考え見よ、われ を襲いしこの痛みに》BWV46が演奏されています。これは以前に聞きました。 今日は、以前に順番をとばしていたBWV186を聞きます。
▼大規模な作品で、2部に分かれ、演奏時間も30分あまりあります。暑さと相まっ て、何度聞いてもどの曲がどんなんやったかさっぱり思い出せない。三歩歩いたら忘 れる鳥頭状態です。歌詞の英語訳も、いつもにまして意味が取りにくい。
そこで、まず作品の成立から書きますと、ワイマール時代の作品である 待降節第3日曜日用の同名のカンタータBWV186a(作品消失)の改作ということです。(これについては、 教会カンタータ一覧表を御覧下さい。) ライプツィヒでは待降節のカンタータは演奏されない習慣だったので、他の用途に転用したのでしょう。 原作の最初の合唱曲、4つのアリアがそのまま生かされていますから、 結局新たに作曲したのはレシタティーヴォとコラールだけということになります。 長い曲ですが、ちょっと水増しですねえ。
▼最初の合唱曲は、前奏のメロディーがちょっとセンチメンタル、合唱そのものは どうでしょうか。「確かにバッハ」とは言えても、「さすがにバッハ」とは言いにく いです。あと、レシタティーヴォ−アリアが、第一部で2回、第二部で2回繰り返されて、そ れぞれ同じコラールで終わるのは、有名なBWV147と同じ構成です。
レシタティーヴォはそれほど印象に残るものがありません。4つとも、最後にアリ オーソが来るのは、聞いててふーんと思いましたが。アリアも、最初の3つは、何と なく気が滅入るような。
結局、まあいいなあと思うのは、ソプラノとアルトのデュエットによる最後のアリ ア。これは、3拍子の軽快な舞曲風で、なかなか楽しいものです。まあ、どんなに暗くてつ らい人生でも、最後には何かいいことがあるよという見本のようなものです。
そして、2回出てくるコラールは、弦とオーボエの対話によるリトルネッロが軽やか
で良い、その上、普通の4声のハーモニーではなく、ソプラノが主旋律を歌うのに対
して、他の声部が対位法的にからんでいくところが面白いです。
このカンタータは147番の1週間後なのです。やはり、毎週1曲のカンタータを作るのは大変だったでしょう。
▼演奏は以下のものがありました。
Rilling 1976 Harnoncourt 1989 Koopman 1994 Suzuki 1996 Leusink 1999
一番教会カンタータらしく聞こえるのはリリングでしたが、他はまあまあです。合唱 ・独唱はコープマンがうまかったかなあというところ。でも、どれが取り立ててどれと言うことは ありませんでした。暑いので、そんなところで。(もうっ、だらけてるなあ!)
▼お知らせです。岡山の方でWEBサイトを開いておられるhayashiさんが、このカン タータ鑑賞記をページに仕上げてアップしてくださることになりました。とりあえ ず、初期の5回分が明日アップされます。
(2001年8月2日)