カンタータ第162番《ああ、いまわれ婚筵に行かんとして》バッハの教会カンタータ(17) BWV162 (ワイマール時代12)
カンタータ第162番《ああ、いまわれ婚筵に行かんとして》BWV162 今年は、今度の8月6日が三位一体後第7日曜日になるわけです。こういう教会暦に 沿って、テレマンもいろいろカンタータを作っていますが、中にはバッハのカンター タと考えられていたものもあります(141番、160番など)。テレマンのと分かったと たんに誰も演奏しなくなったりして、なんだか気の毒な話です。そういう私も、テレ マンのカンタータは、EMI盤の「狩りのカンタータ」(フォルスター指揮の古い録 音)についてきた1曲だけしか持っていません。今日初めて聞いてみましたが、バッ ハなら絶対出来ない大胆不敵な音の使い方をしていました。 要するに、「三位一体後」というのは、特別な行事が何もないと言うことです。今 年はイースターが遅い年なので、三位一体後第23日曜ぐらいで終わりだと思います が、バッハのカンタータの中で、ひどい場合は1731年に三位一体後第27日曜日と言う のがあります。有名なカンタータ140番《目覚めよとわれらに呼ばわる物見らの声》 ですが。この年は、逆にイースターが3月25日で早かったのですね。 ▼関係ない話題を長々書いたのは、実は、曲についてあまり書くことがないため。 161番で精力を使い果たした後には、ちょうど良い曲です。 一応、6曲から成っていて 第1曲 アリア(B) 第2曲 レシタティーヴォ(T) 第3曲 アリア(S) 第4曲 レシタティーヴォ(A) 第5曲 デュエット(A,T) 第6曲 コラール という、おきまりの形。まあちょっといいのは第1曲で、特に弦楽合奏にホルンのか らむところがかっこいい、と思ったら、これはライプチヒ時代の再演時に追加された パートだそうです(正確には "Corno da tirarsi" という楽器)。そのため、鈴木盤 もコープマン盤もホルンがない。バッハが良いと思って入れたのだから、みんな入れ れば良いのに。 それ以外は、レシタティーヴォもなんか言ってるだけだし、第3曲のアリアも伴奏が 通奏低音だけで地味め。第5曲も主題が平凡。コラールは美しいですが、前にも書い たように、コラールはそこに至る過程が重要なので、それがメインディッシュにはな らないのです。と言うわけで、まあ、こういう曲も中にはあるよ。あまり名曲中の名 曲ばかりだと、こちらが疲れてしまいますからね。 で、結局、アルノンクール盤以外、聞く気もしませんでした。 ▼と言うわけで、ワイマール時代、残るは5曲。わがセバスチャンもだ んだんワイマールの居心地が悪くなってきたようですから、早くライプチヒに移るよ うにしましょう。 (2000年7月30日執筆)
「バッハの教会カンタータを聞く」履歴へ表紙へ
|